成果があったアベノミクス継続を

日夜休日も返上して新型ウィルスと立ち向かっていた安倍晋三氏が、最長の首相人気を務めた後、健康上の理由で退任した。阿部前首相には、一日も早いご全快をお祈りしたい。

新任の菅義偉首相は、秋田県出身、横浜市議会議員から自力で地盤を築き上げてきた政治家である。自民党のどの派閥にも属していない点でもユニークな存在である。

阿部前首相が祖父の岸信介元首相の流れをくむ、いわば政界のプリンスといってよい存在なのに対し、菅慎首相は社会を庶民の目から見ることができる首相である。社会のどこを直せばより能率的な社会になり、どこを直せばより公平な社会なるかを判断するめがあると想像できる。派閥の個別利害にとらわれずに済むことは、改革に対する政治的な抵抗をかわすのにも有利であろう。しかも首相のアドバイザーには、従来の製造大手企業や銀行からだけでなく、今やサービス業を代表する者が含まれているといわれるのも、前向きの政策を生むのに有望である。

さて、菅首相にとって大地の問題は、安倍内閣の代表的な経済政策、「アベノミクス」をどするかである。同内閣の官房長官を長く務めた新首相は、すでにアベノミクスを継承すると公言しているが、もちろんそれはうなずける。阿部首相が就任した2012年末から、コロナ流行が始まる直前の19年末までに、500万人以上の日本人が新たに就業することになったのである。